埼玉県熊谷市新堀のJR高崎線・籠原(かごはら)駅構内で15日に起きた火災は、送電線をはりからつる「がいし」が破損して漏電が起き、周辺の信号やポイントを動かす機器などが焼けていた。JR東日本が明らかにした。同駅前後の熊谷−本庄間は終日運転を見合わせ、熊谷−岡部間は16日も運休し、復旧は17日の始発からとなる見通し。経年劣化による腐食ががいし破損の原因とみられ、同社と県警熊谷署が詳しい経緯を調べている。
高崎線は15日、区間運休を含め上下線258本が運休し、約21万人に影響した。熊谷−本庄間では16日、代行バスを運行する。
同社などによると、火災は午前3時55分ごろ発生した。破損したがいしは、電車を動かす電気を下方の架線に送る電線をつっていた。磁器製の二つの絶縁体を結ぶ太さ19ミリの鉄製部品が断裂し、1500ボルトの高電圧がかかる電線が鉄製のはりに接触して漏電した。
電気ははりを通って流れ電柱との接続部分が一部溶けたほか、コンクリート製電柱を伝わって地中にも漏電し、近くの信号、ポイント、踏切を動かす電子機器や駅舎の配電盤などに過電流が発生し焼損させたとみられる。
このがいしは1991年に設置され、寿命は20〜25年で2017年度に交換予定だった。断裂部分はさびが付いて腐食が進んでいたという。同社管内では同種のトラブルが12年までに3件起きており、今回の火災を受けて首都圏の約8万カ所の同様箇所でがいしを緊急点検する。