御巣鷹の日航機墜落事故 「自衛隊が撃墜説」に国交相「正確な情報発信する」
2025/4/11
1985年に発生した日本航空機の御巣鷹墜落事故について、原因を「自衛隊による撃墜」などとする言説が書籍やインターネットで流布している問題に対し、中野洋昌国土交通相は11日の閣議後記者会見で、「しっかりと正確な情報を発信してきたい」と述べた。
11日の会見で中野氏は、旧運輸省の事故調査委員会の航空事故調査報告書を引用する形で、事故原因に言及。機内の気圧を保つ役割がある「後部圧力隔壁」の不適切な修理に起因するものだとし「さまざまな角度から調査解析を行い、専門家による審議の上、ほぼ間違いないという結論に至ったため、強い推定を示す『推定される』という表現を使用している」と説明した。
その上で「国会や会見を通じ、政府として責任ある立場にあるものが正確な発信をしていくことは重要だ」と述べた。
事故は1985年8月12日夕に発生。羽田発大阪行きの日航機123便が離陸後に機体トラブルに見舞われ、群馬県上野村の「御巣鷹の尾根」に墜落。乗客乗員524人のうち520人が死亡し、単独機としては世界最悪の被害となった。
報告書によると、当該機は78年に別の事故により、後部圧力隔壁が損傷し、米ボーイング社が修理した。しかしその過程で不適切な措置がとられ、求められる仕様よりも強度が低下していた。
85年8月12日午後6時24分、当該機は離陸から約12分後、疲労が重なっていた後部圧力隔壁が破損し、機内の空気が機体後部に噴出。垂直尾翼や翼を動かす油圧系統が破壊され、操縦不能に陥った。
パイロットらは左右のエンジンの出力差を駆使するなどして機体の制御、立て直しを図ったが機体は迷走。トラブルから約30分後の同6時56分、墜落した。
事故調査委は87年6月、後部圧力隔壁の修理ミスを原因と推定する報告書を提出した。ただ内容が専門的で難解との批判もあり、後の国交省の運輸安全委員会は、事故犠牲者の遺族と連携をとりながら2011年7月、報告書の「解説書」を作成。報告書とともにホームページで公開し、「自衛隊の関与説」についても否定している。
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