>>412
そうそう甲子園(笑)
「知らない者の弱みだなって。修羅場だの苦しみを経験してもないのに、無責任にモノを言う未熟さ。いま思い出しても笑っちゃうよね」
根拠のない皮算用。明豊との試合でそれは、すぐに露見してしまった。
2回に2点を先取された時点で、聖光学院は完全に後手を踏んだ。3回以降も3点、1点、2点、2点。6回が終了した時点で0対10と大勢は決していた。
斎藤の表情は常に強張っていた。チームのメンタリティーを説く余裕などなく、選手には「耐えろ」としか言えなかった。
「なんで甲子園ってコールドがねぇんだ」
斎藤の脳裏には、そんなうしろ向きな感情しか浮かんでこない。勝負よりも試合の終わり方ばかりを気にしていた。
「2対10くらいなのかな?」
この時の斎藤は、監督でありながら無意識のうちに試合を放棄してしまっていた。甲子園の女神に背を向けたチームは8回と9回にも5点ずつ献上し、
最終的に0対20
明豊の26安打に対し、聖光学院はわずか4安打。甲子園史に残る惨敗だった。