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香南市香我美町岸本に駐屯している陸上自衛隊第１４施設中隊の約６０人が８日、田野町から海岸沿いに同駐屯地までの約３０キロを国道や自転車道を歩いて行進する訓練を行った。
この日は６７年前に太平洋戦争が開戦した日でもあり、小銃など武器を携帯した行進に、平和団体のメンバーらが強く抗議した。
行進や沿道の市民の様子を追った。（中川壮）

◆平和団体が抗議

夜はまだ明けず、吐く息は白い。午前５時４０分、国道５５号沿いにある土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線田野駅前の駐車場に同駐屯地の大型トラック３台が入ってきた。
荷台から、鉄帽をかぶって迷彩服に身を包み、背嚢（はいのう）を背負い小銃を手にした隊員らが次々と降りてきた。

「銃を持って何をするつもりですか」「こんな平和の日に何をするんだ」。県平和委員会や共産党県東部地区委員会などのメンバー約４０人が大声を上げた。両団体など６団体は、５日に駐屯地を訪れ訓練中止を申し入れていたが、予定通り実施されたため、この日集まり、直接抗議した。

しかし、隊員らは何も言わず１５分後、小銃を肩からけさ懸けにして国道の歩道を一列になって歩き始めた。

◆「お遍路さんかと」

辺りが明るくなった午前７時。安田町の唐の浜から、国道５５号を行進する隊員らに合わせて歩いた。
沿道で行進を見つめていた自動車整備工場を営む男性（６２）は「初めて見たが悪いこととは思わない。
安全のためなら自衛隊はある程度必要」と話した。

行進の速度は大人が普通に歩く程度。ただし、同隊によると、背嚢は２０〜３０キロの重さだという。

安芸市内に入った。自宅玄関から見ていた女性（８６）は「お遍路さんじゃろかと思った」。神戸に住んでいた
戦時中、大空襲の１０日前に高知へ引き揚げ命拾いしたという。「戦争はややなあ。そればかり」と話した。

午前７時４５分、安芸市下山の道の駅で２度目の休憩。休憩は１時間に１度。車の中で新聞を読んでいた
出勤前の会社員男性（５８）は「訓練があると知らなかったので、何かあったのかとびっくりした」。