[概要]
·自衛隊の合憲性が争われた長沼訴訟に関連して、当時の平賀健太札幌地裁所長が、事件担当の福島裁判長に対して、国側の裁量判断を重視して自衛隊の違憲判断は避けるべきである旨を示唆する内容の書簡を私信として送った事件。福島裁判官は、これを不当な干渉と受け取り、この書簡を公表した。
[事件の影響]
·平賀所長は最高裁から注意処分を受け、東京高裁判事に転任となったが、その後、福島判事に対しても、政府与党からの批判が強まり、国会の裁判官訴追委員会が介入して、平賀判事は不起訴、福島判事は訴追事由に当たるが起訴猶予とした。
·学会では、平賀所長の行為や、福島判事に対する政権からの圧力は、裁判官の職権の独立を脅かすものであるとの見解が多数を占めている。