>>567
精神科領域からの観点
「メンヘラ」は上記のように「ネットスラング」であり、医学用語ではない。
ところが「メンヘラ」というスラングが蔓延したために、自称メンヘラ、と言う、精神科外来の患者が増加しているのは事実である。
医学的定義による「精神病患者」と「メンヘラ」の違いは明白である。「精神病患者」は先天的遺伝や、後天的ストレスによって引き起こされる脳内物質の不均衡が原因であることがほとんどである。精神科領域には、疾患によりカテゴリーが分かれている。最も一般的な2分類は次のものである。「Ⅰ軸」と呼ばれるものは、上記の純粋な精神疾患を指す。例としては「うつ病、そううつ病、そう病(この3つは最近では「気分障害」とまとめられることが主流である)、統合失調症、てんかん(先天性・後天性にかかわらない)」の事を言う。一方「Ⅱ軸」と呼ばれるものは、主に「パーソナリティ」が原因である精神疾患を指す。
「メンヘラ」と一番近い医学的定義は、このⅡ軸の「パーソナリティ障害」である。しかしながら、Ⅱ軸は、精神科領域の疾患に含めるか、含めないか、盛んに議論されている。なぜならば、パーソナリティとはその人の「人格」そのものであり「人格とはその人の生の歴史そのものである」からである。ここから導かれる明白な疑問は「人格は治療の対象として扱うべきなのか」である。しかし、現代のように日本でも、一つの例としては、虐待などを受けて育ってきた人などは、社会に出たときに、社会に適合することが難しく、その結果ストレスがたまり、「Ⅰ軸」の精神病のような症状を発症することがあり、そのときは当然治療対象となる。